「マクドナルド」はなぜ「マクダーナルズ」ではダメだったのか。伝説の創業者が明かす“儲かるネーミング”【藤田田】
新装復刊『起業家のモノサシ』より #2
■子供が「マクドナルドください」と言っている
「何が面白いのですか」
とたずねると、
「とにかく行ってみればわかりますよ」
とニヤニヤするばかりだ。仕方なく、その店に連れて行ってもらった。
ところが行ってみると、子供たちがやってきて、
「マクドナルドください」
とハンバーガーを注文する。来る子供、来る子供、みんな、
「マクドナルドください」
という。
「ね、面白いでしょう、藤田さん」
案内してくれた人はそういって笑ったが、このとき私は、『マクドナルド・ハンバーガー』と常に続けて、漢字的に表現してよかった、としみじみ思ったものだ。
漢字的表現を徹底したために、今や『マクドナルド』は『ハンバーガー』の代名詞になってしまったのだ。
10年経った今も、振り返ってみて、うまくいったと思う。
日本語は、俳句にしろ短歌にしろ、すべて、5、7音が基礎になっている。日本語で語呂がいいという場合は、3、5、7音で成立している。『マクドナルド』も今では、単に『マクド』といわれることが多くなった。
「マクドの誰が来た」とか「マクドの広告を見た」というように使われている。
この前も国文学の大家の暉峻康隆先生とお話する機会があったが、暉峻先生も「マクド/ナルド」と三音ずつに区切って発音しておられた。
私があえて『マクダーナルズ』をけって『マクドナルド』を主張したのが正しかったことは、暉峻先生が「マクド/ナルド」と発音されたことで証明されたようなものだ。
このライバル店で子供たちが「マクドナルドください」というのを聞いたとき、私は、マクドナルドは勝っている、と思ったものだ。
文:藤田田
《『起業家のモノサシ』より構成》
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起業家のモノサシ
藤田 田
大ベストセラー『ユダヤの商法』の実戦版
伝説の起業家が語る、超大胆×超緻密なビジネス哲学
2026年、生誕100年を迎える伝説の起業家、藤田田。日本マクドナルドを創業し、トップ企業へと育て上げた男の商売哲学がここにある。
マクドナルド銀座1号店の出店戦略、「マクダーナルズ」ではなく「マクドナルド」と命名した理由、三越の軒先を借りて世界記録を打ち立てた「軒先商法」の真髄――豊富な事例を交えながら、「10メートルは10キロと同じ」「勝負は勝たねばダメだし、商売は人が腰を抜かすほど儲けてみせなければダメだ」など、時代を超えて響く金言の数々を語り尽くす。
起業を志す人から現役の経営者まで、すべてのビジネスパーソンに効く、デン・フジタの思考法。

